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ちょっと一息...

美濃

美濃(メイノン)は台南から東南東に30km内陸側に入ったところにあるのどかな田園地帯の広がる客家人(はっかーにん)の町です。台湾のガイドブックを見ていてなぜか気を魅かれて学生さんたちに相談したら週末に行ってみることになりました。M2のイングリッドさんの母方の実家が美濃にあり、日本語を話せるお婆さんがご健在だそうです。中秋節の4連休の1日を使ってトンシンさんの運転する車で出かけてきました。
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まずは台南から少し南下して、それから左に折れて東に向かいました。
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平野から地形的な高まりに指しかかるとそこは「月世界」です。粘土質の未固結の泥からなる厚い地層が侵食されてできた切り立った地形が広がり、草木がまったく生えていない山肌が異色の光景を見せています。とくに朝日と夕日に照らされた景観が見事だそうです。成功大学の巡検でもよく来るところだそうですが、広大な面積に渡って似た光景が続いており、中にはいると結構道に迷いやすいそうです。
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さらに東に進むと、旗山(チーサン)の町に入ります。ここは台湾でサトウキビとバナナの生産が高い町として有名です。すでにシーズンを過ぎていて、山のようなバナナにお目にかかることはありませんでしたが、途中に立寄った旗美休間廣場(道の駅「旗美」)で手に入れたバナナはものすごく甘く、これぞ「台湾バナナ!」とうなるほどの美味しさでした。本場のバナナは台南市内で手に入るものよりもずっとずっと美味しいです。
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旗美休間廣場にある台糖のお店には各種シャーベットが揃っていました。台湾では塩と砂糖と水は国営だそうです。ここでは「芋頭冰棒」が有名だそうですが、私が選んだのは好物の「紅豆冰棒(あずきアイス)」でした。ほかには「酸梅冰棒」「清冰冰棒」「雪花冰棒」「牛奶冰棒(ミルクアイス)」「杏仁蛋黄(鹹冰棒:塩味のアイス)」「米糕冰棒」「鳳梨冰棒(パイナップルアイス)」「緑豆冰棒」「花生冰棒(ピーナッツアイス)」などがあります。
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ここではバナナとアイスの他に「神秘果」という変わった実を体験してみました。まず大きさ1cmくらいの赤い実を口に含みます。噛んで皮と種を摂り出した後で、レモンを口にします。すると酸っぱいどころかものすごく甘く感じるのです。この実は舌に作用して、酸味を甘味にしてしまうのです。世の中にはいろいろと変わったものがあるものです。
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通りにはヤシの木が立ち並び、バナナやビンランの果樹園がそこかしこにあり、南国の風情が満載です。
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旗山を抜けていよいよ客家人の里「美濃」に到着しました。
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美濃のシンボル・東門城楼が見えてきました。
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イングリッドさんの伯父さんの家は左官屋さんです。イングリッドさんが「アポ、アポ」と呼ぶと2階からお婆さんが降りてきました。今年90歳になりますが、足腰のしっかりした柔和な方です。お婆さんは小学校6年生まで日本語の教育を受けたそうです。流ちょうな日本語でしきりに話しかけてきます。「日本のどこからきたの?」「いつ(台湾に)来たの?」「(台湾では)日本語を教えているの?」「新潟は東京から遠いの?」「日本には2回行ったことがあるよ」「1回目は東京から北海道に行ったよ」「2回目は息子の結婚式で熊本にいったよ」「一番上の息子は日本人の奥さんと結婚して熊本でラーメンの工場をや持っているよ」「毎年2月に息子は家族と知合いを大勢連れて美濃に遊びにくるよ」「そのときは、この店のテーブルが7つくらい日本人でいっぱいになって皆日本語をしゃべってるよ」「今は日本語喋れる人は台湾には少ないね」「いつ日本に帰るの?」「またいらっしゃい」とにこにこしながら話しかけてきます。
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そのあと、皆で近くの料理屋で昼食をご馳走になりました。料理屋さんでは美濃の客家料理の数々をご馳走になりました。とにかくものすごくたくさんの料理に我々は圧倒されました。まずは名物の豬脚です。
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美味しい刺し身もありました。ワサビをたっぷり入れた醤油で味わうところは日本と同じです。
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川魚と蝦のフライです。塩とコショウをつけて食べます。
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客家料理に必ず出てくる細長い緑色野菜の炒め物です。
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客家料理の主食である[米へんに反]條(パンティアオ)(客家麺)です。イングリッドさんが子供の頃は朝昼晩と3食ともパンティアオを食べたそうです。
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色鮮やかな蝦の油炒めです。
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客家大腸(クーチアターツァン)(客家風ホルモン炒め)です。
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骨付き豚肉のスープです。
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豚肉と香菜の炒め物です。
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なまこ、たこ、えびと野菜の炒め物です。
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中秋節ではこのように円卓を家族一同で囲んで食事をするそうです。
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午前中はいい天気で日差しも暑かったのですが、昼を食べ終わった頃から雨雲が立ちこめ、強い雨が降り始めました。後半は雨の中の美濃観光になりました。
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美濃は昔懐かしい田園風景だけでなく、紙傘の産地としても有名です。美濃民俗村を訪れると半径1mもある傘を作成中でした。
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美しい絵柄の紙傘もそこでもたくさん売られています。どれがいいか目移りしましたが、もっとも気に入った絵柄の紙傘を購入しました。そのあと、陶磁器の職人の工芸品展示を見学したり、「清冰」という独特の氷アイスを賞味しました。最後に美濃のシンボル・東門城楼に登り雨に滴る夕暮れの美濃の町を見渡しました。
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見学を終え、イングリッドさんの叔父さんの家に戻り、もう一度お婆さんにお会いしました。「もう帰るの?ごはん食べていきなさいよ」と日本語で親身に話しかけられると、まるで台湾にいることを忘れてしまうほどでした。外も暗くなってきたことで、この辺でおいとまをいただき台南に帰ることにしました。美濃では自分が子供の頃にあった日本の農村のような、どこかノスタルジーを感じさせるところでした。
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中秋節の今日(9月25日)は昼間には晴天でしたが、夕方に雨雲が立ち込みパラパラときました。でも夜には雲もなくなり見事な中秋の名月が見られました。昨日に輪をかけて、今日はより一層うるさいほどに、街中のあちこちで爆竹が響き渡り、打ち上げ花火やロケット花火が夜空を照らしています。結構大きい花火もあちこちで無秩序に上がっています。中秋節が台湾の人々にとって特別なものであることがよく分かりました。
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by geomantleh2 | 2007-09-25 23:33 | 台湾
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